最良のマーラー指揮者は?

この問いにはバンスタと答える人が非常に多いと思います。実際、彼のマーラー演奏はクナやベームのワーグナー、リヒターのバッハ、ムラヴィン閣下のショスタコーヴィチに匹敵する至芸でありました。彼は60年代にニューヨークフィルとロンドン交響楽団を指揮した最初のマーラー全集をつくり、70年代にウィーンフィルほかを指揮した映像版全集をつくり、晩年の80年代にウィーン、ニューヨーク、アムステルダムのオケを指揮して3度目のマーラー全集をつくりました。最初のマーラー全集で私が聴いているのは巨人だけです。映像版と3度目の全集は全部聴いています。彼のマーラー演奏は本当に偉大なものですが、あまりしょっちゅう聞きたいとは思いません。だって感情移入が激しすぎるんだもの。年に何回か気持ちを引き締めて聞くには最高かつ最良のマーラー指揮者だと思うのですが、気軽に聴けるような演奏ではありません。気軽に聴くにはもっと軽い演奏のほうがいいです。この軽いというのは決して貶め言葉ではありません。この世には偉大な軽さというものもあるからです。モーツァルトやヨハン・シュトラウスの音楽はベートーヴェン、ブラームスと比べたら軽いかもしれませんが、だから彼らの音楽がベートーヴェン、ブラームスよりも内容的に劣るなどとぬかすバカはいないでしょう。私は気軽に日常的に聴ける、言ってみれば等身大のマーラー演奏と言ったらクーベリック、ショルティ、メータ、小澤さんといった人たちの演奏をあげます。メータという指揮者のことを無能だのボンクラだのという人が驚くべきことに今でもおりますが、そういう人たちに「メータの何を聴いたの?」と尋ねると、判で押したように彼がスランプに陥っていた80年代の演奏をあげます。70年代の天才指揮者という名声をほしいままにしていたメータと、スランプから立ち直った90年代以後のメータをこの人たちは全く知らないでしょう。75年にウィーンフィルを指揮した復活が神からお墨付きをもらったような大名演であることも知らないのですから、呆れてものが言えないとはこのことです。あのベームがメータのことを「オレの後継者になれるかもしれん」と言ったことも多分知らないんでしょうなあ。メータの話ばかりになってしまいました。閑話休題。日常的な比較的軽い気持ちで聴けるマーラーでいい演奏と言ったら意外かもしれませんが、最近、シカゴ・ウィーン・クリーヴランドのオケを指揮してマーラー全集を完成させたばかりのブーレーズとシュトゥットガルトのオケを指揮して全集を録音中のノリントンのマーラーをあげておきたいと思います。

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